昨年夏北アルプス奥穂高岳・槍ヶ岳縦走を振り返る。
登山日 2008年7月29~30日  人数 2人


[プロローグ]

前年、秋色に染まる立山の稜線を歩き
北アルプスの山々の美しい連なりや、岩の殿堂剣岳の迫力にやられてしまった。

僕は北海道の山にしか興味が無かった為、この時が始めての北アルプスで
その素晴らしさが忘れられず、またいつか北アルプスに来てみたいという思いを強く持っていた。

それでこの夏、本州梅雨明けとともに、天気の悪い大雪山から移動
奥穂高岳槍ヶ岳を縦走するために上高地までやって来たのだ。


[1日目]

【登山コース】
上高地小梨平キャンプ場→前穂高岳登山道
→岳沢ヒュッテ跡→重太郎新道→紀美子平→奥穂高岳穂高岳山荘テント場

【天気】
いまいちだった・・・・・ 晴れ のち ガス のち 夕方晴れ

【歩程】
朝6時頃、上高地小梨平キャンプ場のバンガローを出発。
晴れてはいるのだが、目指す穂高岳をはるか仰ぐとガスがかかっている。

河童橋を渡り暫く木道を歩くと分岐、ここを右へ前穂高岳登山道を行く。

緩傾斜の樹林帯を淡々と歩いていると、後ろから登山者が迫ってきたので道を譲る。
と、30リットル程度の小さなザックを背負った若人2人でスタスタ抜いていく。
「あんな小さなザックでどこまで行くのだろうか」と、北海道の山でのテント泊・自炊しか知らず
北アルプスの通俗な登山事情を全く知らない、僕ら田舎モノはその時思ったものである。

樹林帯を抜けると岳沢沿いの岩地帯、ここをいったん登りきると「岳沢ヒュッテ跡」に着く。
既に歩き始めてから約2時間30経っており、予定より若干遅いタイムだ。

ここから重太郎新道となり、前穂高岳へ向け延々岩場の登りが続くが
特に危険な箇所も無く、手足を使って登れるので疲れが分散できてありがたい。

途中やたらに、韓国人のツアー登山団体とすれ違うのだが
彼ら、まったく譲る気がないらしく、どんどん降りてくる。
で、しかたなくツアー団体全員がとおり過ぎるのを待つ事しばしば
秋の立山でも同じ状況に遭遇したのだが、ツアーリーダーは何をやっているのだろうか・・・・

にしてもガスが依然として晴れそうもなく、まったくテンションが上がらない。
自然、足取りも重く休憩時間も長くなりがちに。

11時30頃、前穂高岳の分岐に着くのだが、ガスっている為前穂高岳スルーーーーー、寄らない。
奥穂高岳への吊尾根の途中で、ふてくさり気味に昼飯をむさぼっているとガスが少しきれる。

本格北アルプスデビューの僕らは、「たぶんあれが常念岳だろう」とか言いながら
ちょっとだけ気分が良くなる。

で、奥穂高岳へ向け岩の尾根道を淡々と歩くと、案外あっけなく奥穂高岳山頂へ。
ガスと風で寒く、なんにも見えない、ここは当然休憩もせず、すぐにスルーーーーー
なんか鳥居があったような気もするがよく覚えていない。

岩稜をどんどん下っていくとすぐに奥穂高山荘が眼下に見えてくる。
クサリ、垂直のハシゴの一下りで3時30頃、今日の宿泊地奥穂高山荘に到着した。

手続きを済ますとテント場へ行く。
狭いチロル状態(小さい棚田の様)に区画が分かれており、張り辛いがなんとかスペースを確保。

落ち着くと山荘に戻りビールで乾杯する。
徐々にガスも消えつつあり、常念岳・大天上岳など表銀座方面が西日に照らされている。

穂高岳山荘より常念岳方面】
okuho_yari_2009_4_8_001.jpg


と、上り始めてすぐに僕らを抜いていった若人が奥穂高山荘へ入ってきて宿泊手続きをしている。
「夏の北アルプスは、あんな軽装でも縦走できてしまうものなのか」と、妙に感心する僕らであった。

高所と疲労の為、酔いのまわりが異常に早い。
そうそうにテントへ引き返し、夕飯を食ってしまうと7時頃就寝。「明日晴れますように」


[2日目]

【登山コース】
奥穂高岳テント場→涸沢岳→北穂高岳
→大切戸→南岳→中岳→大喰岳→槍ケ岳山荘テント場

【天気】
快晴 のち 昼前からガス のち 夕方から晴れ

【歩程】
朝3時30頃起床、小便の為外に出ると星が見える。よしよし!
朝飯のカロリーメート・魚肉ソーセージを詰め込み
テントを撤収していると、常念岳のすぐ右手から朝陽が登ってきた。早く歩きたくてしかたない!

穂高岳山荘よりモルゲンロートに輝く前穂高岳
okuho_yari_2009_4_8_004.jpg

ご来光間もない5時頃、涸沢岳へ向け出発、ペンキを頼りに岩場を登る。
30分ほども登ると、朝の空気も清々しい大パノラマの涸沢岳山頂に到着する。

【涸沢岳より槍ヶ岳方面】
okuho_yari_2009_4_8_010.jpg

初めて眺める、夏の北アルプスの峰々の佇まいは、僕の予想を超える絶景だ!!
北穂高岳から槍ヶ岳まで連なる峰々が創りだす陰影の美しさ
陽光を浴びひときわ勇壮に鎮座する笠ケ岳、圧倒的迫力で眼前にそびえる奥穂高岳など
たまらん風景のど真ん中に僕は今立っている。

【涸沢岳より奥穂高岳・前穂高岳okuho_yari_2009_4_8_008.jpg

【涸沢岳より笠ケ岳】
okuho_yari_2009_4_8_009.jpg

時間を忘れ写真を撮っていると、どうも友人の様子がおかしい。元気がないのだ。
どうやらこれから歩いて行く、急峻で細い岩稜を目の当たりにして意気消沈しているようだ。

で、まあそんな事僕はあんまり感じずに、意気揚々と北穂高岳へ向け出発した。
が、細い急峻(というか垂直)なルンゼ状の下りがいきなり1発目で登場する訳だ。

ただでさへ緊張を強いられるポイントだというのに
ところどころで、でかいザック(70リットル)が引っかかりスムーズに下れない。
ここ、何かの拍子で落ちたら間違いなくタダでは済まない。

なんだか僕は楽しくなってしまい、アドレナリンが分泌されてくるのが分かる。
落ち着いて足場・ホールドを確保しながら、このポイントをクリアー、友人が降りてくるのを待つ。

なんとか友人も降りてきたが、相当恐ろしかったらしく顔がこわばっている。
で一言、「ここで引き返さないか?」 と真剣に僕に言う訳だ。

で、僕は何の問題も感じないので 「俺一人でも行くから じゃあここで分かれよう」 と
で、友人は 「お前にもこんな危険なところを行って欲しくない いっしょに帰ろう」 と何だか神妙な面持ち

埒の明かない押し問答が10分は続いただろうか・・・・・

そうこうしている内に上からパーティーが下ってきてしまった。
こんな狭いところで譲れないしどうするのだ、とその時
「あああ~~  じゃあもう先へ行こう」と、半ばなしくずし的・場当たり的に友人が僕をうながす。

で、再び下り始めたのだが
これ以降は案外怖いところは無く、友人も大丈夫そうに、着実に下っている。
いやあ~~ ひと安心 ひと安心 どうなるかと思った!

刻々と表情を変える笠ケ岳とのコントラストを楽しむ余裕も生まれ
連続するハシゴ・クサリで、急峻な岩場をどんどん下ってく。
ホールド・足場がしっかりしているので、ほぼクサリには頼らず下れる。

まあ、そんなこんなで7時20分頃、ようやく北穂高岳・涸沢岳の最低コルまで来た。
ここで休憩する。

下ってきた道を仰ぐと、その岩稜の急峻さ・険しさがよく分かる。
背後にそびえる涸沢岳奥穂高岳が荘厳な佇まいで青空に映え、美しい。

【最低コルより涸沢岳・奥穂高岳を仰ぐ】okuho_yari_2009_4_8_011.jpg

さて、ここからは北穂高岳へ向けて暫し登りとなる。
相変わらずの岩場で、手足を使い確実に登っていくと1時間ほどでいったん南峰へ
松涛のコルへ向け少し下ると、涸沢小屋から上がってくる道と合流
さらにコルから少し登ると8時20分頃、北穂高岳山頂に到着する。

北穂高岳より槍ヶ岳方面を望む】okuho_yari_2009_4_8_003.jpg

素晴らしい!!
天を突き刺す槍ヶ岳陽光を浴び陰影を刻む岩稜緑の山肌雪渓模様青空
眼前に展開するそのコントラストのなにもかもが美しい!!
いやあ~~~~~ 北アルプス来て良かった~~~~~~

北穂高岳より涸沢岳・奥穂高岳
okuho_yari_2009_4_8_002.jpg

思う存分景色を堪能、憩った後再び南岳へ向け歩を進める。
ここからまた、急峻な岩稜の下りが始まる。

クサリ・ハシゴを手足を使い着実に1時間ほど下ると、いったんA沢コル
ここで一服。

【A沢コルより南岳】okuho_yari_2009_4_8_005.jpg

ここから長谷川ピークへ向け暫し登ると、ナイフリッジ状の尾根へ出る。
慎重に通過していると、大声で何やら叫んでいる登山者の団体が近づいて来る。
また、韓国人の団体ツアーだ。

相変わらず譲る気は無いようでどんどん突っ込んでくる。うん~~~~~~~・・・・・

長谷川ピークを過ぎると、名に聞く大切戸(大キレット)が続くのだが
え、なにコレ ってな感じで淡々と通過。

緩やかに少し登った後、垂直で長いハシゴから再び南岳への登りが始まる。
30分ほどでピークまで上りきり南岳小屋に着くと、と左手から南岳新道が合流してくる。

【南岳への上りから北穂高岳
okuho_yari_2009_4_8_006.jpg

ここで急峻な岩場は終了となり、砂礫の斜面を緩やかに登ると南岳山頂だ。

が、ここでついにガスった。とことどころ稜線を風が吹きぬけ冷たい。
風の吹いていないところを探し昼食とする。

ここから中岳へ向け、いったん緩やかに下っていると
雷鳥の親子が人に臆する事なく歩いている。さすが天敵知らずの雷鳥である。

雷鳥の親子】
okuho_yari_2009_4_8_007.jpg

雷鳥のヒナに心和みつつ、濃くなっていくガスの中、僅かに残る雪渓まで下ると
岩場の上りが始まり、ほどなく中岳山頂へ着く。
で、ガスであまり展望が利かない為、ここ当然スルーーーーーー

大喰岳へ向け更にまた下り、また上り返す。
「南岳まで来れば槍ヶ岳も近いだろう」なんて思っていたのだが、案外アップダウンがしつこい。

2時50分頃ようやく大喰岳山頂に着く。
急峻な岩稜のアップダウンを繰り返し歩いてきた為か、けっこう疲労している。

休憩していると、時折ガスの切れ間から槍の穂が見え始めてきた。テント場も見える。
さあ、あと一下り、一上りで槍ヶ岳山荘に着く。出発だ。

ザレ気味の斜面を下り、足取りも重くジグザグに上り返すと
段々に整地されたテント場に、テントの花が見えてきた。ようやく槍ヶ岳山荘テント場に到着。

比較的広めのスペースが空いていたので、友人と各々テントを張ってしまう。
僕ら、なんとなく「1人1テントで自己完結」が基本となっている。

で、テントを張り終え槍ヶ岳山荘で受付を済ましてしまうと、ビール。
小屋内の休憩スペースは人が多い為、ちょっと寒いが外で乾杯。
すでに酒で顔を真っ赤にしながら、なにやら大声でまくしたてている登山者もいる。

もうガスは殆ど消えており、槍ヶ岳山頂部も眼前に見えている。
西日を浴びる表銀座の尾根などを、ぼ~っと眺めつつビールを飲んでしまうとテントへ戻る。

インスタントラーメンとカロリーメートで夕食を済ますと7時頃、明日の快晴を願い寝袋にくるまった。


と、今回はここまで
3日目、槍ヶ岳登頂の模様はコチラでどうぞ。

 

 

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